「手すりを付けたのに握らない」「段差を直したら別の場所でつまずいた」。住宅改修でよく聞く話です。原因は多くの場合、場所選びではなく、本人の動作を見ないまま決めたことにあります。
この記事でわかること
- 動線を書き出して危険な場所を見つける手順
- 効果が出やすい改修と、使われにくい改修の違い
- 申請の順番を間違えないための流れ
- 介護向けの改修を任せられる業者の見分け方
こんな人に向いています
- 親の在宅介護が始まり、どこから直すか迷っている人
- 転倒が心配だが、費用の掛け方が分からない人
- 改修を一度やったが、使われていないと感じている人
動線を紙に書き出す
思いつきで一か所ずつ直すより、暮らし全体を見て順番をつけるほうが結果的に無駄が出ません。
- 起床から就寝までの移動を、順番どおりに書き出す
- 寝室、トイレ、洗面、浴室、玄関をつなぐ経路に印をつける
- 本人が立ち止まる場所、壁に手をつく場所を観察して書き足す
立ち止まる場所は、体を支えたい場所です。ここに手がかりがあるかどうかが、転倒の分かれ目になります。
効果が出やすい改修
- トイレの手すり:立ち座りの動作が最もつらいので、支えが要る
- 玄関の上がり口:高さの差が大きく、転倒が集中しやすい
- 廊下の連続した手すり:壁づたいに歩く人には、途切れないことが安心につながる
一方で、位置が高すぎる手すりや、握りが太すぎる手すりは使われにくくなります。取り付け前に、本人に実際の高さで手を伸ばしてもらうと失敗が減ります。
判断の基準は「本人の動作」
- 立ち上がるとき、体を引き上げるのか、押し上げるのか
- 右手と左手のどちらが力が入るのか
- 歩行器や杖を使うなら、手すりと干渉しないか
縦向きと横向きのどちらが合うかも人によって変わります。ケアマネジャーや理学療法士に同席してもらえると、選びやすくなります。
申請の順番を間違えない
介護保険を使う住宅改修は、工事前の申請が原則とされています。先に工事をすると対象外になることがあるため、必ず相談から始めてください。
- ケアマネジャーに相談し、改修の方針を決める
- 事前の申請を行う
- 工事を実施する
- 領収書などを添えて支給の申請をする
支給の上限や対象となる工事の範囲は制度で決まっており、地域や条件によって運用が異なります。最終的には市区町村の窓口やケアマネジャーに確認してください。
業者選びで見るところ
見た目のきれいな住宅リフォームと、介護向けの実用本位の改修は別物です。介護改修の実績があるか、本人の動作を見てから提案してくれるかを確かめてください。
- 現地で本人の立ち座りを見てから位置を決めるか
- 下地の有無を確認し、取り付け方法を説明できるか
- 申請に必要な書類の作成に慣れているか
改修だけに頼らない
福祉用具の貸与や購入で済む場合もあります。置き型の手すりや簡易の踏み台なら、工事をせずに試せます。まず借りて使い勝手を確かめ、それから工事を決める順番も有効です。
よくある質問
Q. 手すりは多いほど安全ですか
必ずしもそうではありません。通路が狭くなり、歩行器が通れなくなることもあります。必要な場所に絞るほうが動きやすくなるとされています。
Q. 賃貸住宅でも改修できますか
所有者の承諾が必要になるのが一般的です。工事を伴わない用具で対応できる場合もあるため、まずケアマネジャーに相談してください。
Q. 何から手をつけるべきか決められません
転倒の危険が高い場所、つまりトイレと玄関まわりから検討するのが一般的です。判断に迷う場合は、専門職や市区町村の窓口に確認してください。
まとめ
- 動線を書き出し、立ち止まる場所から優先順位を決める
- 工事前の申請が原則、順番を間違えない
- 制度の詳細は地域で異なるため、必ず公的窓口で確認する