言葉を丁寧にしたつもりが、相手に妙な顔をされた。メールを書くたびに手が止まる。敬語の不安は、語句を知らないことよりも、どの場面でどれを選ぶかが定まっていないことから生まれます。
この記事でわかること
- 尊敬語、謙譲語、丁寧語の役割の違い
- 相手と話題の人物から、使う形を決める手順
- 間違いやすい言い回しと、その直し方
- 話し言葉と書き言葉で変わる部分
前提として、敬語は相手を持ち上げ、自分を控えるための仕組みです。語句を丸暗記するのではなく、誰の動作について話しているかを見る癖をつけると、応用が利きます。
こんな人に向いています
- 社会に出たばかりで、電話や来客の対応が不安
- 「させていただく」を使いすぎている気がする
- 社外向けのメールに時間がかかる
- 学び直したいが、何から手をつけるか分からない
まず三種類の役割を分ける
敬語は大きく三つに分かれるとされています。役割が違うので、混ぜると不自然になります。
- 尊敬語:相手の動作を高める。相手が主語になる
- 謙譲語:自分や自分側の動作を低める。自分が主語になる
- 丁寧語:話し方そのものを整える。文末を「です」「ます」にする
主語を確かめてから形を選ぶ
迷ったときは、その動作を誰がするのかを確認します。これだけで大半の判断がつきます。
- 相手が見る場合は尊敬語、自分が見る場合は謙譲語
- 相手が言う場合は尊敬語、自分が言う場合は謙譲語
- 自分側の人間の動作は、社外に対しては低める
社内では上司を高めますが、社外の相手に自社の上司の話をするときは、相手側を高めて自社側を低めるのが一般的です。ここを取り違えると、丁寧に話しているのに違和感が出ます。
間違いやすい言い回しを直す
語感で覚えていると、不要に重ねてしまいがちです。
- 二重に敬語を重ねない。高める言い方を一度で済ませる
- 「させていただく」は、相手の許しを得て行うときに使う。許しの要らない動作には使わない
- 社内の人物を社外に語るとき、敬称を付けたままにしない
- 物や事柄を高めすぎない。敬うのは人の動作です
電話と来客の場面で型を持つ
その場で組み立てると詰まります。よく使う場面だけ、言い方を決めておきます。
- 名前を確認するとき、聞き取れなければ復唱して確かめる
- 相手を待たせるとき、待つ理由と見込みを添える
- 分からないことは推測で答えず、確認してから返す
- 断るときは、できない事実と代わりの案をそろえる
書き言葉では整える範囲が広がる
メールや文書では、語句だけでなく構成も丁寧さに含まれます。
- 用件を先に書き、経緯は後に回す
- 依頼は、期限と必要なものを具体的に示す
- 断定を避けすぎると、かえって意図が伝わらない
- 記号や省略語は、社外文書では控える
丁寧すぎる文章の弊害
敬語を重ねるほど文が長くなり、要点が見えにくくなります。丁寧さと分かりやすさは、両立させるものです。
- 一文を短く切り、主語と述語を近づける
- 遠回しな表現で結論をぼかさない
- 謝る場面では、まず事実と対応を書く
学び直すときの順番
- よく使う動作だけ、尊敬語と謙譲語の対で覚える
- 自分が書いた文を読み返し、主語を確かめる
- 職場で通っている言い方があれば、そちらに合わせる
言葉の当否は時代とともに動きます。判断に迷う表現は、辞書や公的な国語の指針を確認するのが確実です。
よくある質問
Q. 完璧に使えないと失礼になりますか
語法の誤りより、伝わらないことや対応の遅れのほうが問題になりやすいものです。まず正確に伝え、丁寧さは少しずつ整えれば十分です。
Q. 社内ではどの程度使えばよいですか
職場の慣習に幅があります。初対面や役職者には敬語を使い、日常のやりとりは周囲の話し方に合わせるのが無難です。
Q. 敬語が自信がなく、話すのが怖いです
定型の場面から固めてください。電話の受け方と取り次ぎ、来客の案内だけでも決めておくと、負担は目に見えて減ります。
まとめ
- 尊敬語と謙譲語は、動作の主語で選び分ける
- 社外では自社側を低め、相手側を高めるのが基本
- 重ねすぎず短く書くほうが、丁寧さも伝わりやすい