50代、60代からの学び直しは、経験があるぶん有利に進められます。題材を決める三つの軸、続く時間の作り方、オンラインと対面の使い分け、学びを暮らしに生かす工夫まで、人生後半の学習戦略をまとめました。
若い頃に学べなかったこと、忘れてしまったこと。もう遅いと感じる一方で、時間の使い方は自由になってきた。大人の学び直しは、この二つのあいだで始まります。結論から言えば、遅すぎることはありません。ただし、若い頃と同じやり方では続きません。
この記事でわかること
- 大人の学習が有利になる理由と、弱くなる部分
- 何を学ぶかを決めるための考え方
- 続けられる時間の作り方
- オンラインと対面の使い分け、学びを暮らしに生かす方法
大人の学習には有利な条件がある
年齢を重ねてからの学習は、不利ばかりではありません。
- 仕事や暮らしの経験があり、新しい知識を既に知っていることに結びつけられる
- 学ぶ内容を自分で選べるため、意欲が続きやすい
- 何のために学ぶかがはっきりしている
一方で、丸暗記や長時間の詰め込みは負担になりやすいとされています。理屈で理解して、経験とつなげるやり方に切り替えるのが要点です。
また、生活の中に学ぶ時間を確保する難しさもあります。若い頃は学校が時間を決めてくれましたが、今は自分で枠を作る必要があります。
何を学ぶかは三つの軸で決める
迷ったときは、次の三つを紙に書き出して重なりを探します。
- 昔から気になっていたが、手を付けられなかったこと
- 今の暮らしで役に立つこと(家計、健康、地域の活動、道具の使い方など)
- 人と関われること(仲間ができる、教えられる、発表できる)
三つが重なる題材は続きやすいと言われます。たとえば地域の歴史を学べば、好奇心、散策という健康面、地元の仲間という三方向がつながります。
続く時間の作り方
大人の学習は、量より頻度で決まります。
- 週に何時間ではなく、何曜日の何時と決める
- 1回は30分から1時間程度。長すぎる計画は崩れやすい
- 学ぶ場所を固定する。机の上に道具を出しっぱなしにしておく
- 続かなかった週があっても、翌週に戻れば問題ないと決めておく
オンラインと対面を組み合わせる
どちらか一方に絞らず、役割を分けると長持ちします。
- 通信講座や動画教材:自分の都合で進められる。基礎を固める段階に向く
- 大学の公開講座や自治体の生涯学習講座:体系的に学べ、質問もできる
- 地域のサークルや教室:仲間ができ、続ける理由になる
- 図書館:費用をかけずに幅を試せる。合わない題材を早く見切れる
費用や日程、募集の時期は実施する団体によって異なります。申し込み前に募集要項を確認してください。
覚えるより「使う」に寄せる
大人の学習は、出力を増やすと定着します。
- 学んだことを家族や友人に説明してみる
- 短い記録を残す。何が分かり、何が分からなかったかだけでよい
- 学んだ内容を現場で試す。歴史なら現地を歩き、語学なら話す機会を作る
- 資格を目標に置くと、進み具合が数えられるので迷いにくい
進み具合が見えなくなったときの対処
停滞を感じたら、内容の水準を下げるのではなく、扱う範囲を狭めます。
- 教材を最初から通すのをやめ、必要な章だけ読む
- 難しい入門書より、やさしい実用書に切り替える
- 誰かに教える予定を作る。期限があると整理が進む
残り時間から逆算して優先順位をつける
やりたいことをすべて同時に進めると、どれも中途半端になります。年単位の予定として並べ直してみてください。
- 今年やること、来年以降に回すことを分ける
- 体力が必要なもの(旅行や現地調査を伴うもの)は早めに置く
- 費用がかかるものは、時期をずらして重ならないようにする
数年かかる学びも、始めてしまえば進みます。三年で資格を取る、五年で一つの分野を通して読む。そういう長さの計画が、大人の学習では現実的です。
家族と暮らしの中に位置づける
自分だけの時間として抱え込むと、後ろめたさが出て続きません。
- 学ぶ曜日と時間を家族に伝えておく
- 学んだことを共有する場を作る。旅行や食事の話題になる
- 費用の範囲を決めておく。無理のない金額で続ける
よくある質問
Q. 記憶力が落ちた気がします。それでも学べますか
丸暗記は負担が増えやすいとされていますが、理解して結びつける学び方は経験が生きます。覚える量を減らし、繰り返し触れる回数を増やすほうが向いています。
Q. パソコンやスマートフォンが苦手で、オンライン講座が不安です
多くの講座は、受講方法の案内が用意されています。その操作自体を学ぶ題材にしてしまうのも一つの方法です。地域の講習会で基本操作から学べる場合もあります。
Q. 途中でやめてしまいそうで、始めるのが怖いです
やめても損にはなりません。合わないと分かったことは、次の選択を早くします。まずは費用の小さい方法、図書館や体験講座から試してください。
まとめ
大人の学び直しは、経験と結びつけ、頻度で続け、使う場を作ることで進みます。題材は三つの軸の重なりから選び、年単位の計画に置き直す。始める年齢より、続く形を作れるかが結果を決めます。