買った本が積み上がっていく。読みたい気持ちはあるのに、時間が取れないまま次の本を買ってしまう。速読に興味を持つきっかけは、だいたいこの後ろめたさです。ただ、速読を「全部の文字を高速で追う技術」だと思っていると、たいてい挫折します。
この記事でわかること
- 速読の中身は「選ぶこと」だという考え方
- 読み始める前の五分でやる準備
- 目の使い方の練習と、無理のない量
- 本の種類ごとの読み分けと、内容を残す仕組み
速読の正体は取捨選択
速く読める人は、全部を同じ密度で読んでいません。自分に必要な箇所を見つけ、そこだけ丁寧に読み、残りは軽く通す。結果として一冊にかかる時間が短くなります。
つまり鍛えるのは目の速さだけではありません。何が必要かを判断する力です。ここが決まっていない状態で速く読もうとすると、読んだのに何も残らない、という一番もったいない結果になります。
読む前の五分で速度が決まる
本を開いてすぐ一ページ目から読み始めるのをやめます。先に地図を作ります。
- この本から何を得たいかを一文で書く
- 目次を眺めて全体の構成をつかむ
- はじめにとおわりにを読み、主張の方向を知る
- そのテーマについて自分がすでに知っていることを思い出す
知っていることを先に思い出しておくと、新しい情報だけが目に留まりやすくなります。この準備をした本と、していない本では、読み終わるまでの時間が大きく変わります。
目の使い方を少し練習する
読む速度が上がらない原因の一つは、同じ行を何度も戻って読むことです。短い練習で改善できます。
- 指やペンで行をなぞり、視線を止めずに進める
- 頭の中で音読する癖を弱めるため、少し速いペースで押していく
- 一度に受け取る文字の幅を、今より少しだけ広げてみる
- 一日数分から、毎日続ける
長時間まとめてやる必要はありません。むしろ短く毎日のほうが定着しやすいとされています。慣れるまでは理解度が落ちた感じがしますが、少し戻して調整すれば大丈夫です。
本の種類で読み方を変える
すべての本を同じ速度で読む必要はありません。
- 実用書やビジネス書は、必要な章だけ読んで残りは飛ばしてよい
- 入門書や教科書は、順番に積み上げる構成なので飛ばすと崩れる
- 小説やエッセイは、速く読む対象ではなく味わう対象
- 試験の参考書は、問題から逆算して必要な箇所に絞る
速く読めない本があるのは当然です。前提知識のない分野は誰でも遅くなります。それは能力ではなく土台の問題なので、やさしい入門書を先に一冊通すほうが早道になります。
残す仕組みを作る
速く読んでも忘れれば同じです。出口を作ります。
- 読み終えたら三行で内容を書く
- 線を引く箇所は一冊につき数か所に絞る
- 誰かに一分で説明してみる
- 自分の生活や仕事で使う場面を一つ決める
使う場面まで決めると記憶に残りやすくなります。読んだ本の数より、使えた数を数えるほうが実感につながります。
速く読めない日があってよい
体調や集中の具合で読む速度は変わります。前提知識のない分野、専門用語が多い本、感情を扱う本は時間がかかります。速度が落ちたことを失敗と受け取らないことが、続けるうえで大切です。
目的が決まっていれば、飛ばすことは手抜きではなく判断になります。
読む時間を確保できない時期は、量を落として構いません。一日十分でも、目的を決めて読めば積み上がります。
よくある質問
Q. 一冊三十分は誰でもできますか
本の内容や、その分野の予備知識によって変わります。よく知っているテーマの実用書なら短時間で通せることもありますが、すべての本に当てはまるものではありません。時間を目標にするより、目的を満たせたかで判断するほうが現実的です。
Q. 飛ばすと大事なところを見落としませんか
目次と見出しを先に押さえておけば、飛ばした範囲がどこかは把握できます。必要になったら戻れるよう、読んだ日付と飛ばした章をメモしておくと安心です。
Q. 電子書籍と紙、どちらが速いですか
人によって違うとされています。全体を行き来しやすいのは紙、検索して戻れるのは電子と、得意な場面が異なります。同じ本で両方試して、自分に合うほうを選ぶのが確実です。
まとめ
速読は読む場所を選ぶ技術です。読む前に目的を一文で決め、目次で地図を作り、本の種類ごとに読み分ける。そして三行で残す。この流れを一冊試すだけでも、読書にかかる時間の感じ方が変わります。まずは手元の積読から一冊選んで、五分の準備から始めてみてください。