背景をふんわりぼかした写真を撮りたくて、F値を一番小さくしてみた。それでも背景はくっきり写っている。カメラを始めて最初につまずくのが、この絞りの感覚です。数字と結果が結びつかないので、設定を変えても手応えが出ません。
この記事でわかること
- F値の数字が逆に見える理由
- ぼけを大きくする四つの条件
- 場面ごとのF値の目安
- 絞りすぎたときに起きること
F値は穴の大きさを表している
絞りは、レンズの中で光が通る穴の大きさを変える仕組みです。F値はその穴の大きさを表す数字ですが、穴が大きいほど数字が小さくなります。ここが直感に反する部分です。
覚え方は単純でよいと思います。数字が大きいほど光をケチっている、と考えるくらいで十分です。穴が大きいほどピントが合う範囲は狭くなり、背景はぼけます。穴を小さく絞るほど、手前から奥までピントが合う範囲が広がります。
ぼけを大きくする四つの条件
ぼけはF値だけで決まりません。四つの要素が掛け算で効きます。
- F値を小さくする、つまり開放側に寄せる
- 被写体に近づく、寄るほど背景はぼける
- 被写体と背景の距離を離す
- 焦点距離の長い側、つまり望遠側を使う
F値を最小にしてもぼけないときは、たいてい背景が被写体のすぐ後ろにあるか、被写体から離れすぎています。壁際で撮っている人を一歩前に出してもらうだけで、結果が変わることがよくあります。
絞りを変えると一緒に変わるもの
絞りは明るさにも関わります。穴を小さくすれば入る光が減るので、カメラは別の設定で補います。
- シャッタースピードが遅くなり、手ぶれや被写体ぶれが出やすくなる
- 感度を上げて補うと、ざらつきが増えることがある
- ピントが合う範囲の広さが変わる
つまり絞りだけを自由にはできません。暗い場所で絞りを絞ると、ぶれやすくなります。三脚を使うか、絞りを開ける判断が必要になります。
場面ごとの目安
数値はあくまで出発点です。同じ場面でも距離や背景で変わります。
- 人物を背景から浮き立たせたいとき、開放寄り
- 料理を主役にしつつ、皿の全体も見せたいとき、中間あたり
- 風景で手前から奥まではっきり見せたいとき、絞り気味
- 複数人の集合写真で全員にピントを合わせたいとき、絞り気味
迷ったら、同じ構図で二段ずつ変えて何枚か撮ります。帰ってから見比べると、自分の好みの範囲が見えてきます。
絞りすぎの落とし穴
はっきり写したいからと目一杯絞ると、今度は回折という現象で画質が甘くなることがあります。多くのレンズは開放でも最小でもなく、中間あたりが一番すっきり写るとされています。
- 最小まで絞るのは、あえてシャッターを遅くしたいときなど目的があるとき
- 隅々までシャープに写したいときは、中間あたりから試す
- レンズによって得意な範囲が違うので、手持ちのレンズで確かめる
練習の進め方
理屈を読むより、同じ被写体で撮り比べるのが早道です。絞り優先モードを使うと、F値だけ自分で決めてシャッタースピードはカメラに任せられます。
- 動かない被写体を一つ決める
- F値だけを変えて、開放から絞り気味まで数枚撮る
- 次に被写体との距離を変えて、同じことを繰り返す
- 最後に背景との距離を変えて撮る
この三セットを一度やると、四つの条件がどれくらい効くのか体でわかります。撮ったときの設定は記録されているので、あとで確認できます。
ぼけは設定ではなく位置取りで作る、と考えると失敗が減ります。
よくある質問
Q. 明るいレンズを買えばぼけますか
開放側を小さくできるので有利にはなります。ただ、距離の条件を満たしていなければ期待したほどぼけません。まず今のレンズで距離を変える練習をしてから検討するほうが、買って後悔しにくいです。
Q. スマートフォンでもぼかせますか
機種によって、ぼけを作る撮影モードが用意されています。仕組みは異なりますが、被写体に寄り、背景を離すという考え方は同じように効きます。
Q. 集合写真でピントが甘くなります
開放寄りのままだと、前列に合わせると後列が外れます。絞り気味にして、人の並びを前後二列程度に収めると安定します。
まとめ
F値は穴の大きさで、小さいほど背景がぼけます。ただしぼけを決めるのは、F値、被写体との距離、背景との距離、焦点距離の四つです。絞りすぎると画質が甘くなるため、中間あたりも覚えておきます。まずは絞り優先モードで、同じ被写体を撮り比べてみてください。