家具を動かしたら、壁の傷が出てきた
画鋲の跡が点々と残っている。ネジを外した穴が思ったより大きい。掃除機をぶつけた場所がへこんでいる。賃貸だと、退去時にいくら請求されるのかが気になります。実際には傷の種類によって、自分で直せるものと、手を出さないほうがよいものが分かれます。
この記事でわかること
- 壁の傷を、直し方ごとに分けて考える方法
- 自分で補修する手順と、失敗しやすい工程
- 自分で直さないほうがよい傷の見分け方
- 退去時のやりとりに備えて残しておく記録
前提として、賃貸の原状回復では、通常の生活で生じる傷みと、借りた人の不注意による損傷が区別して扱われるのが一般的です。契約書の特約によって扱いが変わる場合もあるため、まず自分の契約書を読むことが出発点になります。
こんな人に向いています
- 賃貸に住んでいて、壁の傷が気になっている人
- 引っ越し前に、自分でできる範囲を直したい人
- 持ち家で、壁の小さな傷を自分で処理したい人
- 補修を業者に頼むか迷っている人
傷を4種類に分けて考える
- 細い針の跡:画鋲やピンによる小さな穴。補修材で埋めれば目立ちにくくなります
- ネジや釘の穴:針の跡より大きく、周囲が盛り上がっていることがあります
- 表面のこすれや汚れ:壁紙が破れていない場合は、清掃で改善することもあります
- へこみ・破れ・下地まで届く穴:壁紙の下の板材が傷んでいる可能性があり、扱いが変わります
上の2つは自分で対応しやすく、下に行くほど判断が必要になります。
小さな穴を埋める手順
- 穴の周囲のほこりを、乾いた布で落とす
- 盛り上がった部分があれば、平らになるよう軽く押さえる
- 補修用のパテを、穴より少し多めに詰める
- ヘラや厚紙の縁で、壁の面に合わせてすり切る
- 完全に乾くまで触らない。乾燥時間は製品の表示に従う
- 乾いてはみ出しが残ったら、目の細かい紙やすりで軽くならす
急いで次の工程へ進むことが、最大の失敗要因です。乾く前に磨くと、埋めた部分が抜けてしまいます。
色と質感を合わせるコツ
- 壁紙は白でも、真っ白ではないことが多い。目立たない場所で試してから本番に入る
- パテは乾くと色が変わる製品があります。乾いた状態で判断する
- 凹凸のある壁紙では、平らに仕上げるとかえって目立ちます。乾く前に爪楊枝などで軽く模様を付ける方法もあります
- 広い面に塗り広げないこと。範囲が広がるほど違いが目立ちます
自分で直さないほうがよい場合
- 下地の板材が割れている、押すとたわむ
- 穴の奥に空洞が見え、周囲の壁紙が浮いている
- 水漏れが疑われる変色やふくらみがある
- 壁紙の柄が大きく、部分的な補修では合わせられない
これらは補修の跡のほうが目立ち、かえって費用が増えることがあります。管理会社や専門の業者に相談したほうが、結果的に安く済む場合があります。特に水に関わる変色は、原因が建物側にある可能性があるため、自分で塞がず先に報告してください。
やりがちな失敗
- 補修材を厚く盛り、周囲との段差ができる
- 濃い色のペンや修正液で塗りつぶしてしまう
- 強力な接着剤で壁紙を貼り、剥がすときに下地まで持っていく
- 退去の直前にまとめて作業し、乾燥時間が足りない
退去時のために残しておく記録
- 入居時の状態を写した写真。日付が分かる形で保存する
- 傷が付いた時期と経緯のメモ
- 補修した箇所の、作業前と作業後の写真
- 使った補修材の名称
言葉だけのやりとりは後で食い違いが起きやすいため、写真が有効な材料になります。
穴を増やさない工夫
- 画鋲を使わず、粘着タイプの掛け具を使う。ただし壁紙の種類によっては剥がれるため、目立たない場所で試す
- 突っ張り棒や家具に棚を取り付け、壁を使わない
- 重い物を掛けたいときは、管理会社に許可と方法を確認する
注意したいこと
- 契約内容や原状回復の扱いは、契約書や地域の慣行、個別の事情によって異なります。判断に迷う場合は、契約書を持って管理会社や公的な相談窓口、専門家に確認してください
- 自分で直したことで損傷が広がると、責任の範囲が変わる可能性があります。範囲の大きい傷は先に相談するのが安全です
- 補修材や塗料は換気をしながら使い、製品の注意表示を必ず読んでください
よくある質問
Q. 画鋲の穴も請求されますか
一般には、通常の生活で生じる程度の小さな穴と、下地まで達する穴は区別して扱われるとされています。ただし契約書の特約によって扱いが変わることがあるため、契約書の確認が先です。
Q. 補修した跡が分かると、かえって不利になりませんか
隠す目的で色を塗るなど、不自然な処理をすると印象が悪くなることがあります。埋めて平らにする範囲にとどめ、作業内容を説明できる記録を残しておくほうが誠実な対応です。
Q. 退去の何日前に作業すべきですか
乾燥と仕上げに時間がかかるため、荷物を出した後、立ち会いまでに数日の余裕がある日程を組むと安全です。
まとめ
- 傷は「針の跡・ネジ穴・こすれ・下地まで届く損傷」に分けて考える
- 小さな穴は埋めて平らにするだけ。乾くまで触らないことが最重要
- 下地の割れや水による変色は自分で塞がず、先に相談する