パソコンの調子が悪いと、つい「初期化すれば直る」と考えがちです。たしかに効果はありますが、初期化は失った写真や書類を取り戻せない作業でもあります。実際に多いのが、終わってから「あのフォルダを保存し忘れた」と気づく事故です。手順そのものは難しくありません。難しいのは、始める前に何を守るかを決めることです。
この記事でわかること
- 初期化する前に必ず確認しておくものの一覧
- 使い続けるのか、手放すのかで変わる進め方の違い
- WindowsとMacそれぞれのおおまかな流れ
- 初期化しても直らない症状の見分け方
前提として、初期化は本体の設定を出荷時に近い状態へ戻す作業で、保存していたデータやあとから入れた道具は基本的に消えます。クラウドと同期している部分は残る場合もありますが、同期の対象外だったものは戻りません。「あとで何とかなる」は通用しない作業だと考えてください。
こんな人に向いています
- 動作が重く、掃除や削除では改善しなくなった方
- 不審な動きがあり、安心して使えなくなった方
- 家族や知人に譲る、下取りに出す予定がある方
- 買い替えの前に、古い機械を安全に片付けたい方
始める前にそろえるもの
作業に入る前の準備が、成否の大半を決めます。次の四つを紙に書き出してから始めてください。
- 保存したいデータの置き場所(書類、写真、デスクトップ、ダウンロード、メールの保存先)
- 利用している各種サービスの登録情報と、ログインできる状態かどうか
- 有料の道具の購入記録や、再び使うために必要な情報の控え
- インターネットに接続するための情報と、周辺機器の接続方法
とくに見落としやすいのが、ブラウザの保存内容、メールの送受信設定、仕事で使う道具の設定ファイルです。デスクトップに散らばったファイルも忘れがちです。
バックアップは二か所に取る
一か所だけでは、そのコピーが壊れたときに打つ手がなくなります。
- 外付けの記録装置とクラウドなど、性質の違う二か所に置く
- コピーが終わったら、別の機械で開けるか実際に確認する
- 容量が足りない場合は、動画や写真から先に退避する
- コピー中は電源を切らず、途中で抜き差ししない
「コピーしたつもり」が最も危険です。開けることを確かめて初めてバックアップと呼べます。
使い続ける場合と手放す場合の違い
目的によって選ぶ選択肢が変わります。
- 使い続ける:不調を取り除くのが目的なので、標準の初期化で足りることが多い
- 手放す:他人の手に渡るため、データを復元されにくくする設定を選ぶ
- 手放す場合は、各種サービスとの結び付きを先に解除しておく
- 会社から貸与された機械は、自己判断で初期化せず管理者に相談する
実行の流れと、途中でやってはいけないこと
Windowsでは設定の中にある回復や初期化に関する項目から進めるのが一般的です。Macでは、システム設定の中に初期状態へ戻すための項目が用意されています。いずれも画面の表記は世代によって異なるため、表示された案内に従って進めてください。
- 電源は必ずつないだ状態で行い、途中で切らない
- 完了までに時間がかかるため、急ぎの用事の前には始めない
- 途中で強制終了すると、起動できなくなることがある
- 終了後は、案内に沿って更新作業を先に済ませる
初期化しても直らない症状もあります。電源が入らない、異音がする、特定の動作で必ず止まる、極端に熱を持つ。こうした場合は部品側の問題が疑われ、やり直しても再発します。初期化は万能薬ではなく、あくまで中身を整理し直す作業だと考えてください。保証の期間内であれば、自分で手を加える前に購入先や製造元へ相談する方が結果的に早く解決します。
よくある質問
Q. 初期化すればウイルスは必ず消えますか
多くの場合は取り除けますが、絶対とは言えません。外付けの記録装置に問題が残っていて、接続した瞬間に戻ってしまう例があります。バックアップを戻す前に、必要なファイルだけを選んで取り込む方が安全です。
Q. 譲る相手が家族でも、消し方に気をつけるべきですか
気をつけてください。家族であっても、閲覧履歴や保存されたログイン情報がそのまま残るのは望ましくありません。手放す用途を選び、各種サービスの結び付きを解除してから渡してください。
Q. 初期化のあと、何から手を付ければよいですか
更新作業、通信の設定、そして安全に関わる設定の順です。必要な道具は一度に入れず、使う場面が来たものから入れていくと、動作が重くなりにくくなります。
まとめ
- 初期化は元に戻せない作業なので、保存対象を書き出してから始める
- バックアップは性質の違う二か所に取り、開けることを必ず確認する
- 手放す場合は消し方と結び付きの解除を分けて考え、不具合が残るなら部品側を疑う