自分に何ができるのかは、思い出そうとしても出てきません。書き出す順番と分類のしかたを決めれば、職務経歴にも面談にも使える形で言葉になります。実際に手を動かす手順でまとめました。
転職を考えて職務経歴を書き始めたら、二行で止まってしまった。やってきたことは多いはずなのに、言葉にすると当たり前のことしか出てこない。スキルの棚卸しでつまずくのは、能力が足りないからではなく、書き出す順番が決まっていないからです。
記憶から「スキル」を直接取り出そうとすると、抽象的な言葉しか浮かびません。先に出すべきは、具体的な場面です。どんな状況で、何に困り、どう手を打ったか。そこから逆にたどると、自分の持ち物が見えてきます。
この記事は読み物ではなく、手を動かすための手順書です。紙とペンがあれば、短い時間で一周できます。
この記事でわかること
- 棚卸しが思い出し作業にならないための順番
- 場面から出発して言葉にする三段階の手順
- 成果を数字や事実で書くときの型
- どこでも通じる力と、その職場でだけ通じる力の見分け方
- 棚卸しでよく起きる見落とし
こんな人に向いています
- 職務経歴書を書こうとして手が止まった
- 面談で「強みは」と聞かれると答えが曖昧になる
- 社内の評価面談や異動の希望を出す場面が近い
- 転職の予定はないが、自分の位置を確認したい
最初に出すのは「困った場面」
いきなり能力を並べても、他人と同じ言葉になります。先に出すのは、記憶に残っている場面です。
- 困った、慌てた、うまくいかなかった場面を思い出す
- 誰かから頼られた場面、相談された場面を書く
- 面倒だったが結果的に進んだ仕事を挙げる
- 自分がいなければ止まっていたと思える場面を探す
良い結果だけを探さないことがこつです。失敗を立て直した場面のほうが、何ができるかがはっきり出ます。
三段階で言葉にする
場面が集まったら、同じ形に整えていきます。一つの場面につき三段階です。
- 第一段階。状況を書く。いつ、どんな立場で、何が起きていたか
- 第二段階。自分が実際にした行動を書く。考えただけのことは入れない
- 第三段階。何がどう変わったかを書く。相手や周囲の反応も含める
この形にすると、面談で聞かれたときにそのまま話せます。抽象的な強みより、具体的な一つの話のほうが伝わりやすいものです。
成果を事実で書く型
成果は大きさより、確かめられるかどうかが重要です。誇張は面談で崩れます。
- 数字があるなら、何と比べた数字かを添える
- 数字がないなら、関わった人数や期間、扱った件数で具体化する
- 自分一人の成果でないなら、自分の担当範囲を正直に書く
- 続いている仕組みを作った場合は、その後も使われているかを書く
「売上に貢献した」ではなく「どの部分を担当し、何が変わったか」まで書けていれば十分です。
どこでも通じる力を見分ける
持っている力は、通用する範囲が違います。範囲で三つに分けると、自分の強みが見えてきます。
- その職場の仕組みや人間関係に依存する力。外に出ると価値が下がりやすい
- 同じ業界なら通じる力。業界の慣行や取引の知識など
- 業界を越えて通じる力。段取りを組む、人に伝える、問題を切り分けるなど
多くの人は三番目を持っているのに、書き忘れています。日常の仕事に埋まっているため、自分では当たり前に見えてしまうのです。
棚卸しでよく起きる見落とし
見落としには型があります。次の問いを自分に投げると、取りこぼしが拾えます。
- 人に教えた経験はないか。教えられる力は評価されやすい
- 面倒な調整や板挟みを引き受けた経験はないか
- 新しい道具や仕組みを最初に使い始めた経験はないか
- 仕事以外の場で担った役割はないか
棚卸しを使える形に残す
書き出したものは、一度で完成させる必要はありません。むしろ更新できる形にしておくほうが役に立ちます。
- 一つのファイルにまとめ、日付を入れて追記していく
- 新しい仕事が一区切りついたら、その場面を追加する
- 職務経歴書は、そこから抜き出して作る
- 使わなかった場面も消さずに残しておく
なお、書いた内容に業務上の秘密や個人を特定できる情報が含まれる場合、外部に出す書類には使えません。社内の数字や取引先の名前の扱いは、勤務先の規定を確認してから判断してください。
よくある質問
Q. 経験が浅く、書けることが少ない気がします
期間の長さより、場面の具体性が評価されます。短い経験でも、何に困りどう動いたかが書けていれば十分に材料になります。
Q. 数字で示せる成果がありません
数字がない仕事は多くあります。扱った件数、関わった人数、期間、以前との違いなど、確かめられる事実で置き換えれば問題ありません。
Q. 棚卸しはどのくらいの頻度でやるべきですか
一度で終わらせるより、仕事が一区切りつくたびに少し足すほうが続きます。記憶が新しいうちに書けるため、内容も具体的になります。
まとめ
- 能力から考えず、困った場面から書き出すと言葉になりやすい
- 状況、行動、変化の三段階に整えると面談でも使える
- 通用する範囲で分類すると、見落としていた強みが見つかる